啓発活動

オーラル・フレイル

1.「オーラル・フレイル」とは何ですか?

「オーラル・フレイル」とは、直訳すれば「歯・口の機能の虚弱」ですが、これは、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授、飯島勝矢准教授らによる、食環境の悪化から始まる筋肉減少を経て最終的に生活機能障害に至る構造の研究で示されているものです。

そこでは、特に歯科口腔機能の軽微な機能低下や食の偏りも認められています。千葉県柏市における大規模健康調査(縦断追跡コホート研究)等の結果から出された、歯・口の機能の低下を表す新しい考え方です。

この研究において、高齢期において人とのつながりや生活の広がり、誰かと食事するなどといった「社会性」を維持することは、活動量、精神・心理状態、歯・口の機能、食・栄養状態、身体機能など、多岐にわたる健康分野に関与することが明らかになっています。この「社会性」が欠如していくと、低筋力や低身体機能などの「サルコペニア」(加齢性筋肉減弱症)や低栄養などによる生活機能の低下を招き、ひいては要介護状態に陥ることが懸念されています。

2.歯周病やむし歯などの歯の疾患や、歯・口の機能低下と「オーラル・フレイルの予防」にはどのような関係があるのですか?

歯・口の機能低下は、加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)や運動器症候群(ロコモティブシンドローム)の前兆とも考えられ、「オーラル・フレイル」の予防がひいては、全身の健康に寄与することもわかってきています。

特に、栄養面からみると、歯・口の健康への関心度が低く、歯周病や齲蝕を放置して重症化を招き、歯を喪失するなどして口の中の機能が低下していくと、滑舌が悪くなったり、食べることができないものが増えたりして、食欲低下やバランスの良い食事を摂ることができず、噛む力や舌の動き、食べる量が低下し、低栄養、代謝量の低下、サルコペニアを引き起こす要因となり、ひいては要介護状態に陥ることとなります。

そのため、ささいな歯・口の機能の低下を軽視しないことが大切なのです。このわずかな歯・口の機能の衰えは、身体の衰えと大きく関わっているのです。

3.「オーラル・フレイルの予防」のためには、具体的にどのようなことをすれば良いのですか?

「社会性」「バランスの良い食事と歯・口の定期的な管理」「運動」、この3つを維持することがサルコペニアの予防になり、健康長寿につながります。

そのため、特に歯科の観点からは、歯周病やむし歯、歯を失ったときに速やかに治療を受けることはもちろん、定期的に歯・口の健康状態をかかりつけの歯科医院で診てもらい、健康状態を保つようにしてください。

4.どのような発信をしていますか?また、日本歯科医師会が発信をしてますか?

厚生労働省と平成元年から展開している「8020運動」に加え、東京大学高齢社会総合研究機構の協力の下、「オーラル・フレイルの予防」という新たな考え方を示し、健康長寿をサポートするべく、日本歯科医師会が発信・啓発しているものです。

「しっかり噛んで、しっかり食べ、しっかり動く、そして社会参加を!」という基本的な概念を早期から再認識し、結果的に意識変容、行動変容につなげることを目指しています。

なお、本研究の内容は、「健康寿命延伸のための歯科医療・口腔保健」をテーマに、平成27年3月13日(金)~15日(日)に開催した「世界会議2015」においても世界各国の歯科関係者に発信しています。

5.いつから発信しているのですか?

今年(平成27年)の「歯と口の健康週間」で新聞広告を通じて啓発したのを契機に、より親しみやすく浸透しやすいように工夫し、発信・啓発していきたいと考えています。